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それぞれの役割

2020/11/26

 

先日、ある講演会に参加した。ALS(筋萎縮性側索硬化症:手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気)という難病のある方(以下、彼女)を娘に持つ母親の講演。現在、彼女はまぶたさえも動かすことが出来ない状態にあるという。

 

講演の終盤、母親が「彼女は6年近くベッドの上で生活している」と話され、彼女や家族の気持ちをどう想像してよいのか分からない、何とも言えない無力感に包まれた。

その後、聴講者の一人が、仕事で大変な時、悩んでどうしようもない時に彼女に会いに行く。彼女と過ごす時間は短いが「私も頑張らないと」と思うことができると話していた。

 

その時「彼女の役割」というキーワードが頭にパッと現れた。

 

6年近くのベッドの上での生活でも、家族や看護師等にサポートを受けながらも、

彼女は一生懸命あるがままに生きていて、そして立派に自分の役割を果たしている。

 

彼女は自身の置かれた境遇について、彼女が彼女であり続ける限り、絶えず発信している。

そして、その彼女の存在が周囲にとっては、時に励みになり癒しになり悲しみにもなる。

 

それができるのが彼女。

 

 

 

私は仕事柄、色んな障がいのある方と出会う。

 

人それぞれ誰にでも役割があるということを心に留めながら

色んな方に、私は私の役割を果たしていきたい。

 

 

会場を出た後の気持ちは清々しいものだった。

彼女が母親を通して、私にその気持ちを与えてくれたのだろう

 

柏木 要